ヘイトを除いたSNSは、なぜすぐ飽きられるのか
「誹謗中傷を根絶したSNS」 「同じ価値観の人だけが集まる、安全なコミュニティ」 ——リリース直後は話題になる。メディアも取り上げる。でも数ヶ月もすると、更新頻度が落ち、新規流入が鈍る。ようは飽きられるわけだ。 あなたはどうだろう。そういう場所、一度は覗いてみた派? それとも「最初から行かない」派? 私は前者に近い。興味はある。でも長くは残らない。なぜだろうか——人間の意識をひとつに統一するなんて、もともと無理だったんじゃないか、と最近はそう考えている。 ヘイトがない世界を実現したらどうなるか SNSでヘイトや誹謗中傷を規制したタイプが、ときどき生まれる。 思想が近い人が集まり、荒らしや攻撃的な投稿を弾く。設計としては「健全なコミュニティ」に見える。リリース時には話題になる。けれど運用が進むと、集客が伸びにくい感じがする。 なぜ飽きるのだろうか。 まず前提として、争いがゼロになること自体は、多くの人が口では望んでいる。誰も傷つけられたくない。スクリーンを開いて胃がキリキリするのは、たまらなく面倒だ。 ただ、争いが消えると同時に、別のものも消える。タイムラインが穏やかになる。穏やかすぎて、スクロールする理由が薄れる。 同じ思想が集まると、争いは減るが刺激も減る 同じ思想が集まることは、争いを生みにくくする。理想論としてはそれでいい。 でも刺激がない。 賛成ばかりの会話は、安心はするが記憶に残りにくい。逆説的だが、人は「何かが起きた」と感じないと、そこに戻る動機が弱い。炎上、論争、誤解、すれ違い——醜い部分を除いたSNSは、同時に「何が起きているのか」も薄くなる。 これはアテンションエコノミーの話でもある。注目を集めるには、感情の振幅が要る。規制で振幅を抑えれば、安全にはなる。けれど振幅が小さすぎると、そもそも目に留まらない。 個人的には、これは設計者の失敗というより、人間の消費行動の癖に近いと思っている。善いコミュニティを作ろうとすればするほど、エンタメ性は落ちやすい——そのトレードオフを見誤っているサービスが多いのではないだろうか。 人は「普通」の中の逸脱を見たがっている なんだかんだで、人は普通を嫌う、という感覚がある。 ここでいう普通とは、万人に受ける無難さのことだ。誰も傷つけない言い回し、誰も驚かない意見、誰も議論しない結論。穏やかで均質なタイムラインは、まさにその普通に近い。 SNSが面白いと感じられるのは、普通の中に逸脱が紛れているからではないだろうか。 極端な意見、予想外の反応、ちょっとしたズレ、見知らぬ誰かの生活の断片——平均から外れたものが、タイムラインの中で目立つ。だからスクロールが止まる。だから「あの人何考えてるんだ」と口に出す。 ヘイトや誹謗中傷は、その逸脱の最悪形だ。だから規制したくなる。でも規制を徹底すると、逸脱そのものも一緒に削ぎ落とされやすい。安全と刺激のあいだに、きれいな線は引けない。 意識をひとつに統一するなんて無理だった ここまで来ると、論点はSNSの設計から、もう少し根の深いところに移る。 人間の意識をひとつに統一するなんて、もともと無理だったんじゃないか。 価値観、政治立場、ユーモアのセンス、怒りの閾値——人によってバラバラだ。同じ言葉を見ても、刺さる人と刺さらない人がいる。それを一つの空間でなだらかに溶かそうとすると、結果的に誰にとってもどうでもいい内容に寄っていく。 「みんな仲良く」は美しいスローガンだ。でも実際の人間関係は、同意と反対、共感と嫌悪、無関心と過剰反応が混ざったものだ。SNSはその縮図をリアルタイムで晒している。だから荒れる。だから面白い。だから、きれいに整えすぎると退屈になる。 つまり、ヘイトを除いたSNSが消えていくのは、運営が下手だからだけではない。人間がそういう場所に長く留まる理由が、構造的に弱い——そういう見方もできる。 まとめ:統一より逸脱 ヘイトのないSNSは、道徳的には正しい方向に見える。でも人は、安全な同質空間より、多少荒れていても「何かがある」空間に引かれやすい。 私はこれを擁護したいわけではない。誹謗中傷を許容しろ、という話ではない。ただ、意識の統一を前提にした設計は、最初から破綻しやすい——その構造を理解しないまま「優しいSNS」を作っても、また同じところで止まるのではないだろうか。 あなたが求めているのは、安全な場所か。それとも、違和感のある場所か。答えは人それぞれだ。けれど多くの人は、口では前者と言いながら、指は後者のほうをスクロールしている——そんな気がしてならない。
AI時代:ゲームの登場人物を生成するかオリジナルにするか
「ゲームのキャラ、生成AIで作ったの?」 ——そう聞かれるだけで、炎上の予感がする時代になった。私は個人的には「難癖のレベル」だと思っている。でも日本だけでなく世界中で同じ傾向があるのは事実だ。 あなたはどうだろう。ゲームにAI生成キャラが出てきたら、気にする派? それとも「中身が面白ければいい」派? 私は後者に近い。ただ、権利と創作の構造を無視して「AIだから叩かれる」だけで済ませるのは、これから先ずっと不利になると思っている。 龍が如くが示す「実在人物ルート」 ゲームで生成AIを使うとよく叩かれる。 なぜかといえば、LLMが何から学習してアウトプットしているのか不透明で、「何かのパクリであることは確定」に近い扱いを受けやすいからだ。 龍が如くやジャッジメントアイズを見ていると、実在する俳優をゲームの登場人物に採用するのは、金はかかるけど版権的には正解といえるかもしれない。外見は実在の人物、セリフは肉声か合成か——ここが次の論点になる。 早い話、使う素材が多くなればなるほどギャランティーが増える。映画出演とは違い、ゲームへの出演は恒久的に売れる可能性があるとはいえ、映画ほどのインパクトはないのではないだろうか。ギャラとスポンサー的な話だ。 ということは、実在人物のデータを入力して3Dモデルに反映させ、その人物に許可を出してもらう——このルートが、これからのベストに近づいていくのではないかと私は考えている。オリジナルを生成しても叩かれる未来が、すでに見えている。 生成AI時代、モブすら作りにくい モブキャラをAIで作成することは技術的にはできる。でもそこに使うだけで叩かれる可能性がある。 なので理想としては、モブに出演したい人を集めてモデリングデータを取得する感じになる。コナン映画で定番になっている「一般ゲスト」採用の延長だ。◯◯学校に訪問して「ゲームキャラに出たい人、許可ください!」というくらいが丸いのではないだろうか。 個人の肖像権を守るにあたり、使用権は基本的に「合意があれば」の話だ。金銭的な問題は合意のわかりやすい形であって、契約は口頭でもお互いがそう認識しているのなら、形式的には問題ない。 AIだから叩かれる時代がこれ以上続くと、コンテンツクリエイト面ではかなり遅れていくのではないだろうか。 「〜っぽい」は褒め言葉ではない リアル寄りのモデリングにするなら実在の人物を使うのが手っ取り早い。名前と容姿で唯一無二と認められても、名前を変えれば「参考にした別の人」みたいな扱いになる。音声を変えたり、髪型を変えたり——非常にややこしい権利問題が発生する。 ゲームで架空のキャラクターを使う考えは、これまでもこれからも有効だ。ただ、「完全なるオリジナル」は時代が進むほど困難になることは確かだ。 芸術家の問題点は、誰かの影響を受けたうえでオリジナルにしないといけないことにある。「〜〜っぽい」は生存中の作家に対しては褒め言葉ではない。誰もが誰かから学習しているわけで、生成AIによるキャラ被りはこれまでよりもこれから先、つきまとう問題になりやすい。 VTuberが量産されているが、キャラを作る前に「名前」「容姿」「キャラ特性」で被りがないかを調べないといけなくなる。同姓同名がいてもリアルではおかしくない。でもネット上だと「パクリ」が優先されてしまう。 だから架空の名前でも被りを許さないのであれば、この先数年くらいで名前ネタは枯渇するのではないだろうかと考える。 ネット上の名前はIPになる ネット上のキャラクターや個人のHN、ニックネームは、IPとして扱うかどうかが今後の課題になるだろう。 日本に生まれているなら、自分の生年月日と住所に氏名は戸籍で管理される。でもネット上で別人格を演じているなら、そういうわけにもいかない。第二人格を作った瞬間から、自分でどう守るかの自衛手段を考えないといけない時代に入っている。 生成AIでキャラを作るにしても、全く同じプロンプトで同じ時期にスタートして、リリースで意図しない被りが発生する可能性も出てくる。今回の例はゲームキャラクターにしたが、知財対象を作成したら、自分でどうやって守るのか——仮にあなたがわからなくても、サポートなりパートナーが理解していればそれでいい。そういう体制が必要になる。 まとめ:許可がある正解 ゲームの登場人物をどう作るか——生成AIか、オリジナルか、実在人物か。三択に見えて、実は全部「権利の線引き」の問題だ。 私が見ている正解は、実在する人物のデータを使うなら許可を取ること。モブであっても同じだ。叩かれないための回避策ではなく、創作が続くための前提条件に近い。 完全オリジナルを目指すほど、被りチェックのコストが上がる。AIを使うほど、学習元の不透明さが批判の的になる。この板挟みをどう設計するか——ゲーム業界だけでなく、VTuberやネット上の第二人格を持つ人間全員の課題だと思っている。
テイクアウトはどこまで自動化が可能か——人・AI音声・Webフォームのコスト比較
「いらっしゃいませ、〇〇食堂です」 最近はこの声の主が、人間ではなくAIだったりする。詐欺電話の自動応答で問題になっている技術と同じ系統だが、飲食店のテイクアウト受注に転用すれば、オペレーターなしで注文を回せるはずだ。 あなたはどうだろう。近所の個人店がAI電話を導入したら、便利だと感じる派? それとも「人に話したい」と思う派? 私は技術的には可能だと思っている。ただ、本当に安くなるのかは別問題だ。従業員に電話を任せるか、AI音声に任せるか、そもそもWebフォームに寄せるか——コストの軸で並べてみる。 個人店のテイクアウト、自動化したい工程はどこか 理想的なフローはこうだ。 電話を受ける → 音声で自動応答 → 住所・氏名・電話番号を取得してシステムに反映 → 注文を受注 → 料理を作って提供 今あるPOSやテイクアウト専用システムでも、電話の部分だけがボトルネックになりやすい。厨房に立ちながら受話器を取る。メモを取る。住所を聞き直す。電話が鳴るたびに手が止まる——この断続的な割り込みが、個人店では地味に効いてくる。 AIに任せたいのは、その「受話器を取って顧客データをぽちぽち入力する」部分だ。音声認識と自動応答の精度が十分なら、理論上は回る。ただしAPIは従量課金なので、客が無駄に長く喋ると料金が膨らむ。必要な情報だけ、短いターンで取る設計が要るわけだ。 比較する3つの受注ルート コスト比較のために、受注経路を3パターンに分ける。ルート 概要 客の負担A. 人の電話対応 従業員が受話器で注文を聞き、手入力 低い(今と同じ)B. AI音声自動応答 電話番号にAIが出て、音声で注文を確定 低い(今と同じ)C. 文字のみ(Webフォーム・LINE等) フォーム送信やチャットで注文 やや高い(操作が必要)Aは人件費、Bは電話回線+音声API+LLMの従量課金、Cはほぼ固定費のみ——という構図になる。 試算の前提 よくある個人飲食店を想定する。営業時間:11:00〜14:00(昼)、17:00〜21:00(夜)の計7時間 電話注文:1日あたり20通前後 1通あたりの通話時間:注文内容の確認・住所の聞き直し込みで平均4分(うちAI発話・認識が占めるのはおおよそ半分) 従業員の時給:1,400円(2026年時点の飲食アルバイト相場の目安) 月の営業日:26日 AI側の料金はOpenAI Whisper(音声認識)+TTS(音声合成)+軽量LLM+Twilio系の電話回線を想定。為替は1ドル150円で換算あくまで電話対応にかかる部分だけを切り出した試算だ。システム開発費・POS連携・初期設定は別枠になる。 月額コスト試算 A. 人の電話対応——「電話に費やした時間」で見る 従業員が料理と兼任する前提なら、電話対応のコストは機会損失としての人件費で測るのが現実的だ。1日の電話対応時間:20通 × 4分 = 約80分(1.33時間) 1日あたり:1.33時間 × 1,400円 = 約1,860円 月額(26日):約48,400円もし営業時間中ずっと電話待機が必要で、実質7時間を電話専任に割くなら1日9,800円・月25万円超になる。個人店でここまで割くケースは稀だろうから、以降は月約5万円をAの基準値にする。 B. AI音声自動応答——通話時間に比例する 1通あたりのAPI・回線コストを積み上げる(4分通話・AI稼働3分と仮定)。項目 単価の目安 1通あたり電話回線(Twilio等) 約2.5円/分 × 4分 10円Whisper(音声認識) 約0.9円/分 × 3分 2.7円TTS(音声合成) 約0.5円/分 × 1.5分 0.8円LLM(意図理解・確認) トークン課金 約1円音声AI基盤(Vapi等の手数料) 約2円/分 × 3分 6円合計約20円/通1日:20通 × 20円 = 400円 月額(26日):約10,400円Aの約5万円に対して、およそ5分の1だ。数字だけ見ればBが圧勝に見える。 ただしここに落とし穴がある。 Bのリスクシナリオ——認識ミスで通話が伸びたとき ドラフトで書いていた通り、客が繰り返し喋ったり、聞き返しが増えると通話時間は伸びる。1通あたりのコストはほぼ通話分数に比例する。シナリオ 平均通話時間 1通あたり 月額(20通×26日)標準 4分 20円 約1万円聞き返し多め 8分 40円 約2.1万円認識精度が低い 12分 60円 約3.1万円現場が混乱 15分 75円 約3.9万円12分平均でもAより安いが、差は縮まる。さらに通話が倍になれば料金も倍——これがAPI従量課金の怖いところだ。人件費は時給が固定でも、AIは「うまくいかないほど高くなる」構造になる。 初期のチューニング費・プロンプト設計・メニュー辞書の整備も無視できない。月1万円安くても、立ち上げに10万円かかれば回収まで数ヶ月かかる。 意図的に通話を伸ばす攻撃——従量課金の死角 認識ミスは「事故」だが、もう一段厄介なのが意図的に通話時間を引き延ばす攻撃だ。従量課金のAI電話は、通話が長いほど店側の請求が増える——この構造そのものが攻撃面になる。 人の電話対応なら、長電話は人件費には効くが、相手も退屈で切りたくなる。AIは文句を言わず、聞き返しを繰り返し、雑談にも付き合う。悪意ある発信者にとっては相手のAPI請求を膨らませる手段になりうるわけだ。 想定される攻撃パターンパターン 手口 店側への打撃長電話消耗 注文に見せかけて雑談・聞き返し・無言を繰り返す 1通あたりのAPI・回線料が数倍に連続発信 同一番号または複数番号から短時間に何十回もかける 1日分の想定コストが数時間で吹き飛ぶボット発信 自動ダイヤラで営業時間中ずっと回線を占有 正常な客の電話がつながらない+料金膨張音声プロンプトインジェクション 「前の指示を忘れて〜」と長文を読み上げさせる LLMトークンと通話時間の両方が増えるいたずら・嫌がらせ 競合や不満客がわざとAIを困らせる 対応品質の低下とコスト増の二重苦DDoSのようにサービスを落とすというより、請求額を吊り上げるDenial-of-Walletに近い。飲食店規模だと1日数千円〜数万円の暴騰でも経営に効いてくる。 試算で出した「標準20円/通」が、攻撃時に15分固定で100通/日になれば、1日3万円超——月換算で数十万円だ。人の電話対応より高くつく逆転も起こりうる。 対策——設計段階で入れておくべきもの 対策は「導入後に困ってから」では遅い。音声AIを組む時点で、次の層を重ねておくのが現実的だ。 1. 通話時間のハード上限 注文フローに必要な情報が揃ったら即終了。上限は5〜7分程度に置き、超過したら「お電話を切り直すか、Webフォームをご利用ください」と案内して切断する。AIが延々と付き合う設計にしない——これが最優先だ。 2. 番号あたりのレート制限 同一発信者番号から1時間に2通まで、1日5通まで、など上限を設ける。リピーターの常連には足りないように見えるが、注文確定前の「試し電話」はそもそも要らない。超過時は短いアナウンスで切る。 3. 無音・ループのタイムアウト 30秒以上無音、または同じ質問への答えが3回続いたら終了。長電話消耗の大半は「AIが待っている」時間から生まれる。 4. 発信者番号のブロックリスト 明らかな嫌がらせ番号は手動・自動でブロック。Twilio等の電話基盤には拒否リスト機能がある。攻撃を受けた日の番号をそのまま溜めていく運用でよい。 5. 日次・月次の予算上限とアラート APIダッシュボードで1日500円・月1万円など上限を設定し、超過前に通知、超過後は新規通話を自動拒否する。個人店でも「請求が跳ねたら気づける」仕組みは必須だ。 6. 会話を有限ステートマシンに閉じる オープンエンドな雑談モードを持たない。「メニュー選択 → 数量 → 受け取り方法 → 確認 → 終了」のように、遷移先が決まったフローだけにする。プロンプトインジェクション対策として、システム指示と会話ログを分離し、客の発話をそのまま命令として実行しない設計もセットで。 7. 最初の数秒で「注文専用回線」であることを明示 「ご注文以外のお問い合わせは営業時間外にお願いします」と冒頭で宣言する。法的な威嚇というより、いたずらのハードルを上げる効果がある。 8. 電話番号の露出を抑える Googleマップや食べログにAI専用番号をそのまま載せると、ボットの標的になりやすい。既存の店舗番号を使い、裏でAIに転送するか、リピーター向けにQRでWebフォームへ誘導するハイブリッドの方が攻撃面は小さい。 対策を入れたうえでのコスト再試算 上限5分・異常番号ブロック・日次上限あり、という前提なら、攻撃時の最大損失は「上限まで許した分」で頭打ちになる。正常時:月約1万円(前述の標準試算) 軽度の嫌がらせ(1日10通の長電話):レート制限で大半が弾かれ、月2万円前後で収まる想定 本格的な連続発信:日次上限500円で月1.5万円が天井——対策なしの数十万円と比べれば桁が違うつまりBルートのコスパは、攻撃対策の実装コストを含めて評価する必要がある。対策込みで初期設定に数万円、ランニングは月1〜1.5万円——それでも人の電話対応より安いが、ゼロ円に近いCルートとの差はさらに開く。 人の電話は攻撃対象になりにくいが、ピーク時の取りこぼしは防げない。AI電話は攻撃対象になりうるが、上限設計で損失は封じ込められる——このトレードオフを理解したうえで選ぶべきだと思う。 C. 文字のみ(Webフォーム・LINE注文)既存サイトへのフォーム追加:サーバー費の増分はほぼゼロ LINE公式アカウント(無料プラン):0円〜 注文内容の自動整形に軽量LLMを使っても、月数百円程度月額のランニングコストはおおむね0〜3,000円と置いてよい。3ルートの中で最安。 代償は客側の行動変容だ。「いつものように電話する」客をフォームに誘導するには、QRコードの設置、店内掲示、初回クーポンなどの運用が要る。高齢の常連が多い店舗ほど、C単独への移行は難しい。 3ルートの一覧比較ルート 月額ランニング(目安) 客の学習コスト 主なリスクA. 人の電話 約5万円 なし 厨房の手が止まる、ピーク時に取りこぼしB. AI音声 約1〜4万円(精度次第) なし 通話延長攻撃・料金膨張、認識ミス時のクレームC. 文字フォーム 約0〜3,000円 あり 電話派の客が離れる、入力ミス純粋なコスパだけならCが最強。電話文化を維持したまま安くしたいならB。現状維持が許容できるならAも悪くない——ただしAは「見えないコスト」として厨房の効率低下を抱えている、という見方もできる。 20通/日規模では、Bがうまく回れば月3〜4万円の削減余地がある。50通/日を超えると差はさらに開く。逆に1日5通程度なら、どのルートも月額1万円前後の差しかなく、導入の手間を考えるとCで十分なケースも多い。 電話以外に残る壁——配達と決済 コスト比較だけでは決めきれない理由がある。電話受注の自動化ができても、配達と決済は別問題だ。 テイクアウト専業なら店舗受け取りで完結するが、デリバリーをやるならUber Eatsや出前館に乗るか、自社配達を組むかの選択が要る。自社配達は地域限定のコワーカー募集や専用アプリ開発といった話になり、グローバルサービスよりローカルな設計が必要になる。 決済も地味に面倒だ。電話注文は代引きや店頭払いが多いが、事前決済を入れると資金決済法や特定商取引法の表示義務が絡む。AIで「とりあえず動く」レベルのシステムは作れても、ちゃんと商売するには法務・会計の整備が要る。 つまり「電話をAIに任せる」は受注フローの一部でしかなく、配達網と決済基盤まで含めたローカルECの話になるわけだ。 導入する価値があるのはどの店か 私なりに整理すると、こういう判断軸になる。 B(AI音声)が向く店1日15通以上の電話注文がある メニューが比較的固定で、聞き返しが少なくなる 住所の聞き取り精度を上げるため、配達エリアが狭い(同一町内など) 通話を短く終わらせるスクリプト設計ができる 通話上限・レート制限など、攻撃対策を初期設定に組み込める(または任せられる人がいる)C(文字フォーム)が向く店リピーターが多く、スマホ操作に抵抗がない客層 電話が少ない(1日10通未満)ので、わざわざAIを組む必要が薄い とにかくランニングコストを抑えたいA(現状維持)でよい店電話での雑談や関係構築が売上に効いている 客の平均年齢が高く、デジタル誘導が難しい 電話対応自体が月2万円以下の機会損失で済んでいるハイブリッドも現実的だ。昼のピークはC(事前注文フォーム)に誘導し、電話はBで受ける。人は厨房に専念する——こういう分担の方が、全面AIより事故が少ないかもしれない。 まとめ:安いのは文字、電話は精度次第 テイクアウト受注の自動化は技術的に可能だ。音声認識と自動応答は、詐欺電話でも使われているくらい成熟している。 コストだけ見れば、Webフォーム等の文字ルートが最安で、AI音声はうまく回れば月数万円の削減が見込める。ただしAPI従量課金は「失敗するほど高くなる」構造で、認識ミスに加え意図的な通話延長攻撃も現実の脅威だ。通話上限・レート制限・日次予算キャップは、精度チューニングと同じくらい早い段階で入れておくべきだ。 配達と決済は自動化の外側に残る。個人店が独自テイクアウトシステムを作るなら、電話AIはその一部にすぎない——というのが、私の現時点での見立てだ。
HYROXとSASUKE——日本で「筋肉アスリート」を測る物差しはどちらか
YouTubeのおすすめに、突然「筋肉アスリートの競技」らしき映像が流れてきた。 2024年のHYROX世界選手権(男子Elite 15)のハイライトだ。絶対王者と目されていたハンター・マッキンタイア選手が失速し、ペナルティとジャッジのNo Rep判定が絡んで、最後のWall Ballsまで勝敗が分からない展開になっている。 私は最初、「これなんだ?」と思った。SASUKEは知っている。でもHYROXという名前は、フィットネス界隈以外ではまだ薄いはずだ。 あなたはどうだろう。「筋肉系の競技」と聞いて真っ先に浮かぶのは、SASUKE派? それとも最近よく聞くHYROX派? 私はSASUKEのほうが先に出てくる。そこから、日本での知名度と、メディアが物語を拾いやすい条件について整理してみることにした。 HYROXとは何か HYROX(ハイロックス)は、2017年にドイツで誕生したインドア・フィットネス・レースだ。 ルールは明快で、過酷だ。「1kmのランニング + 1つのワークアウト」を8セット繰り返す。合計で8kmの走行と8種類の機能的ワークアウトを、いかに早く完遂できるかを競う。 種目と順序は世界共通で固定されている。スキーエルゴ、スレッドプッシュ/プル、バーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボール——いずれも、走る・押す・引く・投げるといった基本動作の延長線上にある。 クロスフィットのように当日までメニューが分からないわけでも、スパルタンレースのように屋外の地形や泥に左右されるわけでもない。純粋にフィットネスレベルと、疲労下での作業能力(ワークキャパシティ)を数値化しやすい設計だ。 パワー競技に見えがちだが、実態はランニング寄りだ。高負荷のステーションのあと、いかに早く走りのペースに戻れるかが勝負の芯になる。 世界と日本——知名度の温度差 世界的には、もう「急成長」という段階を過ぎている。2026年時点で80都市以上・年間100回超の大会が開催され、累計参加者は約90万人規模まで膨らんでいる。SNSでの映え、明確な世界ランキング、プロ選手とアマチュアが同じコースを走る構造が、フィットネスカルチャーとして定着した。 日本への上陸は比較的最近だが、業界内の勢いは凄まじい。2025年8月・横浜:日本初開催。世界43カ国から約3,800名がエントリーし、チケットは完売 2026年1月・大阪:関西圏へ拡大 2026年8月・千葉(予定):幕張メッセで4日間の大規模開催。PUMAなど大手ブランドの公式コレクションも出ている 国内の公認・提携ジムは40店舗超。一般ジムでもスキーエルゴやスレッドを「HYROX対策」として導入する動きが進んでいるフィットネスに関心のある層にとっては、「いま来ているトレンド」だ。一方で、一般視聴者がテレビのゴールデンタイムで見慣れている競技ではない。YouTubeやInstagram経由で初めて名前を聞く——私のようなルートが、いまの日本ではまだ主流に近い。 つまり、業界内の熱量と、国民的な認知の間にギャップがある。ここが、SASUKEとの比較をする意味になる。 SASUKE——日本における「筋肉アスリート」の物差し 日本で「筋肉系の競技」と言われたとき、長年のデファクトスタンダードはSASUKE(忍者戦士)だろう。 1990年代から続く地上波の看板番組として、一般層への浸透度は桁違いだ。「完全制覇」「第1ステージ落ち」といった語彙は、スポーツファンでなくても通じる。 SASUKEが優れた「指標」になっている理由は、筋力だけではない。エンタメとしての完成度:落ちる瞬間、惜しい瞬間、異次元のクリア——ドラマの型が確立している 男女別の競技枠:KUNOICHIという姉妹番組もあり、性別ごとに物語を分けやすい 「誰が最強か」が直感的:最後の壁を越えたか、どこで落ちたか——結果が一目でわかるただし、SASUKEが測っているのは「総合フィットネス」ではない。握力、バランス、爆発力、独自の障害物攻略スキル——個別の身体能力と、番組固有のコース設計への適応力のほうが強い。 ジムで鍛えた持久力や心肺機能が、そのままSASUKEの成績に直結するとは限らない。逆に言えば、SASUKEが強い人が、レース形式のフィットネス競技でも最強とは限らない。 HYROXがメディア向きに見える理由 さて、冒頭の世界選手権ハイライトに戻る。ペナルティ、No Rep、最終種目での逆転——これは偶然ではなく、競技設計と相性がいい。 HYROXがメディアの物語として拾われやすい条件を、SASUKEと並べて整理するとこうなる。観点 SASUKE HYROX開催環境 屋外セット中心(天候・撮影条件に左右) 屋内固定(会場・照明・カメラ位置を設計できる)ルールの再現性 コース改修があり、年によって難易度が変わる 種目・距離が世界共通で固定成績の比較 クリア/脱落が主で、タイム比較は副次的 タイムと順位が主軸。世界ランキングが機能する男女の競技 KUNOICHIとして別番組 同一フォーマットで男女カテゴリーを並走ドラマの源泉 落ちる恐怖、唯一の完全制覇 ペナルティ、ジャッジ判定、終盤の失速と逆転個人的には、「屋内で撮れる」「タイムで語れる」「男女を同じ物差しで並べられる」——この3つが、テレビやストリーミングの編集者にとってはかなり使いやすいはずだ。 SASUKEがエンタメとして強いのは、障害物という「見せ場」が最初から組み込まれているからだ。HYROXは、一見地味な反復動作の積み重ねのなかに、判定とペース配分という緊張を埋め込んでいる。2024年のロンコビッチ選手の優勝は、「最後のWall Ballsで相手が崩れる」というゲームプランを信じ抜いた戦略勝ちとして語られ、コミュニティに刺さった。 フィットネスレースは「鍛えている人の延長」だから、視聴者が自分ごとにしやすい面もある。SASUKEは「超人の話」になりがちだが、HYROXは「自分も挑戦できる距離感」を残しつつ、エリート同士の熱戦も見せられる。 日本の知名度——いまどこにいるか ここまで読むと、「HYROXはメディア向きでは?」と思えるかもしれない。ただ、認知の現実はもう一段階遅れている。フィットネス業界:導入ジム増加、大会完売、ブランド参入——認知は急速に上がっている 一般視聴者:SASUKE/KUNOICHIのほうが圧倒的に名前が通じる 発見経路:YouTube・TikTok・Instagramが主。地上波の定期枠はまだない日本では、筋肉アスリートの象徴としてSASUKEが先に植え付けられている。HYROXは「ジムで汗をかく人のあいだでは流行っているが、家族に説明すると一から始める」段階だ。 とはいえ、横浜初開催で3,800人規模・完売という事実は無視できない。大会そのものがコンテンツになりつつある。あとは、その熱量を番組化するか、SNSのまま閉じるか——メディア側の判断待ち、という顔もしている。 SASUKEとHYROXは競合ではなく、別の物差し 最後に整理すると、両者は「どちらが正しい筋肉指標か」という関係ではない。 SASUKEは、日本における身体能力エンターテインメントの最高峰として機能してきた。障害物という非日常が、視聴体験の核だ。 HYROXは、再現可能なフィットネスレースとして、数値と順位で実力を比較する。ジム文化と直結している。 メディアがHYROXを採用するなら、SASUKEの代替ではなく、「持久力とワークキャパシティの頂点を争う別リーグ」として位置づけるほうが自然だろう。室内開催、男女別のエリートカテゴリー、判定が絡むクライマックス——条件はそろっている。 ただ、国民的な名前になるかどうかは、もう一段の翻訳作業が要る。種目名をそのまま並べても刺さらない。「8km走りながら8種目やるレース」——この一言が通じるまで、SASUKEの影は長く残るはずだ。 まとめ:物差しは二つあっていい 日本で「筋肉アスリート」と聞いて真っ先に出てくるのは、いまもSASUKEだ。番組としての歴史、障害物という見せ場、KUNOICHIによる男女別の物語——この土台は揺るがない。 一方でHYROXは、フィットネス業界のなかではすでに「次の標準」に近い。屋内で開ける、タイムで比べられる、エリートのドラマが自然に生まれる——メディアが拾う条件は、意外とそろっている。 私は、どちらか一方が勝つ話ではなく、測っているものが違う物差しが並ぶほうが健全だと思っている。SASUKEは超人の境界線、HYROXは鍛えた身体の数値化——視聴者にとっても、自分の身体を語る言葉が増える。 あなたが次にYouTubeで筋肉系の映像を見たとき、それは障害物か、ランニングマシンとソリか。名前を知っているかどうかで、体験の入口は変わる。でも、どちらも「人間の身体がどこまでいけるか」を見せる装置だ——そこは同じだろうなと思っている。
DX人材を見極めて獲得する——地図が先、人材は後
「DX推進担当を募集します」 「DX人材が足りない」——求人票や業界記事で、同じような言葉を何度も見かける。私はそのたびに、少し首をかしげてしまう。足りないのは人材なのか、それとも「DXで何を実現するか」が決まっていないポジションなのか。 あなたはどうだろう。DX担当の採用で、資格や肩書きをまず見る派? それとも、現場の業務を理解しているかを優先する派? 私は後者に寄せている。DXは売上を加速させる魔法ではなく、人間が入り込む余地をなくすほど自動化を進める話だ。機械にできることと、人間にしかできないことを切り分けたうえで、自社に合った形に落とし込む。人材選びも、その前提がないとミスマッチになる。 先に決めるべきは「DXで何を実現するか」 DX担当者——あるいは推進責任者——が最初にやるべきことは、人を探すことではない。実装の要因、つまり何を自動化し、何を人に残すかを決めることだ。 世間のDX像は、どうしても事務作業をPCに移すイメージに寄りがちだ。紙をPDFにする、請求書をスキャンして帳簿に入れる。これは20年前からOSやクラウドサービスでできることで、DXというより既存ツールの導入に近い。 本当の論点は別のところにある。アナログの性質とデジタルの性質、どちらも理解していないと、「なぜデジタル化するのか」が説明できない。 登り釜の温度管理を例にする。火の守り手が24時間つかずはなれず番をする現場を、デジタルでどう置き換えるか。テスラのロボットが薪を入れること自体は可能かもしれない。だが、どこに薪を入れるか、つむのか減らすのか——現場の判断がハードに落ちていないと、ソフトだけでは動かない。AIが担えるのは知識面までで、溶けないコードで熱源に手を突っ込むロボットは、別の設計課題になる。 こういう現場があるからこそ、DXは「業種の成功事例をコピーする」話ではない。鍛冶師の補助をロボットに任せる話と、事務をPCでやる話は、同じDXと呼んでも中身が違う。同業他社の事例は参考になることもあるが、無関係な分野の事例は、ときに何の手がかりにもならない。 DX担当が選ぶべき実装要因は、ざっくり次の3つに整理できると思っている。 機械に任せられる作業——繰り返し、ルールが明確で、例外が少ないもの。 人に残すべき判断——例外処理、顧客対応、安全や品質に関わる最終責任。 自社固有の制約——設備、慣習、法令、そこにいる人の技能。 この3つが曖昧なまま「DX人材」を探し始めると、採用しても動かない。担当者が先に地図を描くべきだ。 資格と専門学校は、人材確保の答えにならない IPAには「DX認定制度」がある。経産省のお墨付きで権威性は上がる。だがこれは「うちはDXやっています」と認めてもらう制度で、人材を確保する手段ではない。審査に60日かかるなら、その間にもっと現場を直せる余地はあるだろう。 世間にアピールする用途と、採用基準を混同している会社が少なくない。皆が本当に知りたいのは「どうやってDXしたのか」のほうだ。 一方で、DX専門の学校や養成講座も増えている。何を学ぶのか——紙をPDFにすればデジタル、というレベルなら、Windowsのスキャン機能のほうが早い。請求書のOCRや帳簿連携は、既存のクラウドや生成AIでも実現できる。 そこで学んだ人が世間では「DXエキスパート」に見える。でも現場では、頭でっかちでソフトもハードも弱く、エンジニアと話がかみ合わない——そんなコンサルタイプになるリスクもある。体系的に「これが正解」と教えるカリキュラムと、自社に最適化するDXは、そもそも方向がずれやすい。 DX専用の資格が決定的に役立つわけでもない。重要なのは、資格の有無ではなく、アナログの現場とデジタルの手段の両方を理解しているかだ。 経営者・人事が取るべき獲得の順番 経営と人事の視点では、獲得策を「外から買う」か「中で育てる」かに分けがちだ。私は、多くの中小企業なら中で育てるほうが現実的だと思っている。 理由は単純だ。DXは自社に最適化するべきもので、教科書どおりの型が存在しない。現場を知っている人にソフト面を足すほうが、未知の業界からDX担当を迎えるより、発注も指示もしやすい。ソフトを理解していれば、SEへの依頼内容が具体化する。「どこのあれをこうしたい」が言語化できる人材は、外から採用するより社内にいることが多い。 経営者がやるべきことは、リスキリングの時間と予算を確保することだ。人事がやるべきことは、DXという肩書きではなく、業務改革に耐える人物像を要件に落とすことだ。具体的には次のような順番が現実的だろう。 現場のベテランや中堅から、業務知識があり、変化に抵抗が少ない人をリストアップする。 小さな自動化やデジタル化を任せ、成果と学習速度を見る。 外部のエンジニアと会話できる人に、発注・要件定義の役割を足していく。 全社DXの象徴役として肩書きを付けるのは、その後でも遅くない。 外注や採用は、地図が描けてからのほうが失敗が少ない。「DX経験3年以上」だけ書いた求人票は、ミスマッチの温床になりやすい。 見極めるポイント——肩書きより会話で確認する 面接や社内登用の場で、私が重視するのは次の4点だ。 「うちのDXで何が変わるか」を30秒で言えるか。抽象論だけなら、推進役にはなれない。 アナログ現場の制約を尊重しているか。「全部クラウドで」だけの人は危ない。登り釜の例のように、ハードと慣習の壁を知っているか。 エンジニアと対話できるか。ソフトの話がかみ合わない時点で、実装フェーズで止まる。完璧な技術力は不要だが、要件を構造化して渡せるかは必須に近い。 自動化と人の役割を切り分けているか。「AIですべて」は設計ではない。何を人が見るかまで言える人を選びたい。 逆に、DXファシリテーターかオペレーターかといったラベルにこだわる必要はない。ファシリテーションが得意なら会議設計、オペレーションが得意なら現場導入——役割は分かれる。大事なのは、ラベルではなく、自社の実装要因にフィットするかどうかだ。 まとめ:地図が先、人材は後 DX人材不足の多くは、本当は人不足ではなく、何をDXするかの地図不足だと私は考えている。担当者が機械と人の境界を決め、経営が育成の時間を確保し、人事が肩書きではなく会話で見極める——この順番が守れれば、資格や専門学校に振り回されることは減るはずだ。 あなたの会社では、DXの地図はもう描けているだろうか。まだなら、求人票を書く前に、登り釜の前に立つ時間から始めても遅くないと思う。