AI時代:ゲームの登場人物を生成するかオリジナルにするか

AI時代:ゲームの登場人物を生成するかオリジナルにするか

「ゲームのキャラ、生成AIで作ったの?」

——そう聞かれるだけで、炎上の予感がする時代になった。私は個人的には「難癖のレベル」だと思っている。でも日本だけでなく世界中で同じ傾向があるのは事実だ。

あなたはどうだろう。ゲームにAI生成キャラが出てきたら、気にする派? それとも「中身が面白ければいい」派?

私は後者に近い。ただ、権利と創作の構造を無視して「AIだから叩かれる」だけで済ませるのは、これから先ずっと不利になると思っている。

龍が如くが示す「実在人物ルート」

ゲームで生成AIを使うとよく叩かれる。

なぜかといえば、LLMが何から学習してアウトプットしているのか不透明で、「何かのパクリであることは確定」に近い扱いを受けやすいからだ。

龍が如くやジャッジメントアイズを見ていると、実在する俳優をゲームの登場人物に採用するのは、金はかかるけど版権的には正解といえるかもしれない。外見は実在の人物、セリフは肉声か合成か——ここが次の論点になる。

早い話、使う素材が多くなればなるほどギャランティーが増える。映画出演とは違い、ゲームへの出演は恒久的に売れる可能性があるとはいえ、映画ほどのインパクトはないのではないだろうか。ギャラとスポンサー的な話だ。

ということは、実在人物のデータを入力して3Dモデルに反映させ、その人物に許可を出してもらう——このルートが、これからのベストに近づいていくのではないかと私は考えている。オリジナルを生成しても叩かれる未来が、すでに見えている。

生成AI時代、モブすら作りにくい

モブキャラをAIで作成することは技術的にはできる。でもそこに使うだけで叩かれる可能性がある。

なので理想としては、モブに出演したい人を集めてモデリングデータを取得する感じになる。コナン映画で定番になっている「一般ゲスト」採用の延長だ。◯◯学校に訪問して「ゲームキャラに出たい人、許可ください!」というくらいが丸いのではないだろうか。

個人の肖像権を守るにあたり、使用権は基本的に「合意があれば」の話だ。金銭的な問題は合意のわかりやすい形であって、契約は口頭でもお互いがそう認識しているのなら、形式的には問題ない。

AIだから叩かれる時代がこれ以上続くと、コンテンツクリエイト面ではかなり遅れていくのではないだろうか。

「〜っぽい」は褒め言葉ではない

リアル寄りのモデリングにするなら実在の人物を使うのが手っ取り早い。名前と容姿で唯一無二と認められても、名前を変えれば「参考にした別の人」みたいな扱いになる。音声を変えたり、髪型を変えたり——非常にややこしい権利問題が発生する。

ゲームで架空のキャラクターを使う考えは、これまでもこれからも有効だ。ただ、「完全なるオリジナル」は時代が進むほど困難になることは確かだ。

芸術家の問題点は、誰かの影響を受けたうえでオリジナルにしないといけないことにある。「〜〜っぽい」は生存中の作家に対しては褒め言葉ではない。誰もが誰かから学習しているわけで、生成AIによるキャラ被りはこれまでよりもこれから先、つきまとう問題になりやすい。

VTuberが量産されているが、キャラを作る前に「名前」「容姿」「キャラ特性」で被りがないかを調べないといけなくなる。同姓同名がいてもリアルではおかしくない。でもネット上だと「パクリ」が優先されてしまう。

だから架空の名前でも被りを許さないのであれば、この先数年くらいで名前ネタは枯渇するのではないだろうかと考える。

ネット上の名前はIPになる

ネット上のキャラクターや個人のHN、ニックネームは、IPとして扱うかどうかが今後の課題になるだろう。

日本に生まれているなら、自分の生年月日と住所に氏名は戸籍で管理される。でもネット上で別人格を演じているなら、そういうわけにもいかない。第二人格を作った瞬間から、自分でどう守るかの自衛手段を考えないといけない時代に入っている。

生成AIでキャラを作るにしても、全く同じプロンプトで同じ時期にスタートして、リリースで意図しない被りが発生する可能性も出てくる。今回の例はゲームキャラクターにしたが、知財対象を作成したら、自分でどうやって守るのか——仮にあなたがわからなくても、サポートなりパートナーが理解していればそれでいい。そういう体制が必要になる。

まとめ:許可がある正解

ゲームの登場人物をどう作るか——生成AIか、オリジナルか、実在人物か。三択に見えて、実は全部「権利の線引き」の問題だ。

私が見ている正解は、実在する人物のデータを使うなら許可を取ること。モブであっても同じだ。叩かれないための回避策ではなく、創作が続くための前提条件に近い。

完全オリジナルを目指すほど、被りチェックのコストが上がる。AIを使うほど、学習元の不透明さが批判の的になる。この板挟みをどう設計するか——ゲーム業界だけでなく、VTuberやネット上の第二人格を持つ人間全員の課題だと思っている。