「AV新法、何が変わるの?」
——リアルタイム検索で出てくるのは、断片的な見出しばかりだ。詳しい説明はほとんどない。同人AVが規制対象みたいだ、出演者の同意が必要だ、という単語は拾える。でも、そこから先が見えない。
あなたはどうだろう。新法=撮影そのものの禁止、と理解している派? それとも、販売・商用利用のルールが変わる話だと捉えている派?
私は後者に近い。無許可での撮影そのものを全面禁止する法律ではなく、金銭を受け取って販売する段階で許諾が必要になる——という整理がしっくりくる。そしてその先に、税金や収益の透明性という話がつながっているのではないかと考えている。
割を食うのは配信プラットフォーム
影響が大きいのは、作品を流通させる配信プラットフォーム側だ。Fantia、FANZA、FC2あたりでの販売が多い。個人クリエイターが作品を上げ、プラットフォームが決済と配信を担う——この構造が、新法とガイドライン改定の交点になる。
Fantiaは2025年5月、モザイク・ぼかし・ベタ塗りなど「隠す部分を正しく隠す」ことを標準ガイドラインとして改定した。
【重要】修正・モザイク基準に関するガイドライン改定のお知らせ | ファンティア スポットライト
表向きは品質基準の話だが、裏側には出品物のコンプライアンスをプラットフォーム側で担保する圧力がある。個人が勝手に売っていたものを、法人が責任を持って流通させる——その責任の線引きが、今まさに動いている。
「出演者の同意」表示義務とは
新法周辺でよく出てくるのが、出演者の同意だ。書面での契約が主な役割を担う。商品を販売するうえで「出演者に同意のもとで制作した」という記載があれば、一定の要件は満たせる、という理解でよい。
契約書があれば法律でより強く縛れる。ただし契約書そのものを公開することには個人情報の問題がある。だから実務上は、文面での同意表明——「同意はあります」——しか出せないケースが多い。
ここで温度差が出る。
風営法のもとで健全なコンテンツ制作を続けてきたアダルトビデオ業界——公に認められているとは言いづらいが——は、もともと契約のうえで出演している。だからAV新法の影響は、既存の大手メーカーにとっては微細だ。もし「影響がやばい」と騒いでいるなら、書面契約がなくブラックな運用をしていた、という話になるのではないか。
逆に、あおりを受けるのは同人AVや個人制作のほうだ。この界隈はトラブルが多いことも事実だ。法律的には健全な販売をしている大手メーカーと、個人の無法地帯的な販売が、同じ「AV」というラベルの下に並んで見える——それが今回の違和感の正体だと思う。
AV界隈でいえば、法人はアダルトビデオメーカー、同人(個人)はそれまで影の濃いゾーンだった、という対比が近い。
無許可撮影ではなく「商用利用」が焦点
著作権の世界でもよくある整理がある。「個人で楽しむぶんならOK」という判断だ。スマホで撮影して、お互いか当人だけが見るだけなら、そこまで問題にならない。
それを商用利用する——ネット上で売る、欲しい人に金銭を受け取って渡す——段階に入ると、双方の同意が必要になる。撮影の自由と、販売のルールは別のレイヤーだ。
ということは、新法の焦点は「撮ってはいけない」ではなく、「売るなら許諾と透明性を」にある。そこに税金の話がつながるのは自然だ。今まで表に出ていなかった収益が、プラットフォーム経由で可視化される。国にとっては、そこが見えるようになることが本丸なのではないか。
まとめ:影の収益が焦点
AV新法で大きく変わるのは、撮影そのものの禁止ではない。商用販売における出演者同意と、収益の見える化だ。
既存メーカーはもともと契約ベースで動いているから、衝撃は小さい。揺れるのは同人・個人販売と、それを載せるプラットフォーム側だ。Fantiaのモザイク基準改定も、その一環に見える。
「何が変わるのか」と聞かれたら、私はこう答える。個人の影にあった販売が、同意のラベルと税金の目が届く場所へ移動しつつある——それが今起きていることだ。